2007年8月28日火曜日

モバイルアクセスをSaaSで管理する・サイバネットシステム

Fiberlinkサービスは、モバイルパソコンからVPNを使って社内LANへアクセスする場合の「セキュリティーポリシー管理」と、「ネットワーク・アクセス・コントロール機能」を、SaaS方式で提供するものだ。モバイルパソコンのウイルス対策ソフトの状態、セキュリティーパッチの適用状況、インストールしているソフトウエアの状況など、契約している企業のセキュリティーポリシーとの整合性をチェックしたうえで、社内LANへのアクセスを制御する。モバイルパソコンの状態が、そのセキュリティーポリシーと合致しない場合には、社内LANへのアクセスを遮断することが可能だ。
http://it.nikkei.co.jp/business/web2007.aspx?n=MMIT24000022082007

株式会社 ROMクライアント
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2007年8月25日土曜日

シンクライアントを使いギフトの対面販売システムを構築

シンクライアントを使いギフトの対面販売システムを構築
関西を中心に9店舗を展開する近鉄百貨店は9月までに、全店舗のギフトセンターに対面販売用のシンクライアント端末450台を導入する。すでに、阿倍野本店、上本町店、奈良店、橿原店の4店舗で300台を稼働させた。贈答品の受注システムをオンライン化し、伝票出力や会計処理など一連の作業にかかる時間を短縮するのが狙いだ。

 顧客が贈答品を注文する場合、従来は顧客自身がカーボン用紙に住所、氏名、商品などを記入し、その情報を店員が端末に入力していた。受注システムがPOSと連携していなかったため、商品の値引きや配送料金などはその都度、店員が適切なものを選択していたという。顧客が指定した発送先が3件だった場合「すべての処理が終わるまでに13分ほどかかっていた」(近鉄百貨店の藤田浩業務サービス本部情報システム部長)。誤った値引き設定で商品を販売してしまうケースなどもあったという。

 これらの問題を解決するために近鉄百貨店が採った方法が、受注システムのオンライン化だ。店員が対面販売用の端末に顧客情報を直接入力するため、紙を使う必要がない(写真1)。POSと受注システムが連携しているため、値引き量や配送量を自動的に計算でき、ミスが起こる心配もなくなった。発送先が3件の場合、新規の顧客で8分、住所などの入力が必要ない既存顧客は5分で受注処理が終わるという。

 対面販売用にはシンクライアント端末を採用した。近鉄百貨店は通常時、贈答品の受注はギフトセンターで対応している。だが歳暮・中元時には贈答品の受注量が急増することから、催事場にギフトコーナーを臨時で設ける。そのためシンクライアント端末も、普段使わない分は倉庫にしまっておき、歳暮・中元時に一斉に売り場に展開する。

写真2●シンクライアント端末は画面の裏側に取り付けられる
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写真3●お中元商戦時には催事場に端末を一斉展開する
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 シンクライアント端末は画面の裏に取り付けることができるため(写真2)、デスクトップ型のパソコンより持ち運びが容易だ。端末は無線LANで受注システムと接続する。阿倍野本店、上本町店、奈良店、橿原店の4店舗は、6月1日からお中元商戦に向けて催事場に端末を配備。催事場にはシンクライアント端末がずらりと並んだ(写真3)。 

 近鉄百貨店が受注システムのオンライン化の検討を始めたのは2005年秋頃のこと。他の百貨店が先行して受注システムのオンライン化に取り組んでおり、伊勢丹は2000年に、大丸は2005年に稼働を始めている。藤田部長は「他の百貨店に後れを取ってしまったため、それを補う意味でも他に負けない最新のシステムを導入しよう」と考え、2005年11月から週1回、要件定義や仕様確定のための会議を開き、どのようなシステムが最適かを検討。耐久性が高いことや情報漏洩リスクを軽減できることなどを理由に、シンクライアント・システムを採用することが決定した。

 シンクライアント・システムは大きく分けて2つのタイプがある。端末ごとに使用するアプリケーションやOSなどを設定するタイプと、すべての端末を共通の環境で利用するタイプだ。近鉄百貨店の場合、対面販売での使用を想定しているため、各端末で使用するアプリケーションは共通である。そのため 2006年6月、後者にあたる日本ヒューレット・パッカード製のシンクライアント端末「HP Compaq t5720 Thin Client」の導入を決めた。

 システム導入の際に大きな問題となったのは、店舗によって贈答品の受注プロセスや値引きの設定方法などが異なっていたことだ。藤田部長は「新システムを導入すると、全店舗が同じ流れで商品受注処理をする必要があった。どのような受注プロセスが最適か、各店舗の意見を調整し、まとめ上げるのに1年近くの時間を要した」と振り返る。

 データベース・サーバーやアプリケーション・サーバーなどは大阪・上本町にある近畿日本鉄道本社ビル地下1階のデータセンターに設置。既存の資産を生かすことを考え、DBMSは以前から使用している日本IBMの「Informix Dynamic Server V9.40」をそのまま流用した。アプリケーション・サーバーは今回新たに13台導入し、サーバー1台で40端末を稼働させる。

 データ・センターと各店舗を結ぶ回線は、NTT西日本の「Bフレッツ」を利用。通信速度は100ギガビット/秒で帯域保証はないが、藤田部長は「10メガビット/秒あれば問題なくシステムが動く」と話す。バックアップ用の回線は広域イーサネットを使用する。
 
 2007 年3月に阿倍野本店、上本町店、奈良店、橿原店の4店舗のギフトセンターでシンクライアント・システムが稼働を開始した。システムの構築を担当したバンクテック・ジャパンは、大丸や高島屋のギフトシステムのオンライン化も手掛けている。バンクテック・ジャパンによると、百貨店が贈答品の受注システムにシンクライアントを採用するのは今回が初めてという。構築にかかった費用は端末やネットワークなどすべて含めて3億円ほどだった。

 稼働まで順調に進んだシンクライアントの導入プロジェクトだったが、現在までに2度、システムが一時的に利用できなくなるという障害が発生している。1度目は今年6月1日、データベース内のデータとインデックスの連携がうまく取れていなかったため、サーバーがデータを読み込むことができず、システムにロックがかかってしまったというもの。2度目は7月1日、顧客のログファイルを記録した磁気テープに障害が発生し、ログファイルを照会できなくなったために利用が不可能になったというものだ。
詳細は・・・・・・・・
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20070823/280177/?ST=system

株式会社 ROMクライアント
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2007年8月21日火曜日

苦節7年,ASPの先駆者がSaaSビジネスに乗り出す

苦節7年,ASPの先駆者がSaaSビジネスに乗り出す
KitASPが米社と提携,プラットフォーム製品販売へ

 かつてのASPブームから7年。今度は成果を出す−−。ASP関連ソフトの老舗ベンダーとして知る人ぞ知る存在である,きっとエイエスピー(KitASP)は,SaaS(Software as a Service)プラットフォーム製品「Pivot Path/JSDN」を提供する米Jamcrackerと提携。通信事業者や大手インターネット接続事業者(ISP),データセンター事業者などに向けて,Pivot Path/JSDNを核にしたプラットフォーム製品を販売すると発表した。

 同社の松田利夫社長は,"苦節7年"の意気込みをこう語る。「2000年にASPを普及させるべく当社を設立し,業界団体のASPIC(ASPインダストリー・コンソーシアム)ジャパンも旗揚げした。その頃,ASPのプラットフォーム・ソフトを提供しているJamcracker社を知り,提携したいと考えた。ところが,ほどなくネットバブルが崩壊して,ASPへの関心は急降下。Jam社はリストラを,我々も苦しい状況を余儀なくされた。しかし ASPは必ず広がるという確信があった。ASPからSaaSへと言葉が変わった現在,ブロードバンド環境は充実し,ネット上にアプリケーションやデータを置くことへのユーザーの拒否反応もほぼない。間違いなくソフトウエアをサービス化できると考えている」。

 同社が販売するのはどんな製品で,どんなビジネススキームを計画しているのか?プラットフォーム製品という言葉から推察できるように,Pivot Path/JSDNはアプリケーションではない。アプリケーションのホスティングや配信契約の実行・管理,ユーザーのアカウント/アクセス権管理,課金・決済,ヘルプデスクなど,アプリケーションをネット経由で提供する事業に必要な機能を提供する基盤ソフトである。KitASPは,このPivot Path/JSDNに自ら提供するいくつかの製品を組み込み「きっとアプリケーション・サービス・プラットフォーム(K-ASP)」という名称で販売する。組み込むのは,クライアント・アプリをサーバーで稼働させる「GO-Global」,サーバー側にあるクライアント・アプリをダウンロードしてオフラインで利用できるようにする「AppStream」,ネット印刷ソフトなど4種のミドルウエアだ。

 一般のクライアント・ソフトやクライアント/サーバー型ソフトを,SaaSとして提供できるのがK-ASPの特徴である。これは,GO- Globalなどを一括提供するためだ。「SaaSのユーザーインタフェースは,一般にはWebブラウザやAjaxを使ったものという印象が強い。だがK -ASPでは使い慣れたソフトを,そのままのユーザーインタフェースで提供できる。ブロードバンドの普及や配信技術の進歩で,普通にクライアント機にインストールしたソフトに比べても,レスポンスはまったく問題ない」(松田社長)。

 KitASPが想定するK-ASPの販売先は,SaaS事業を広範に提供する通信事業者やISPなどと,一般企業に大別される。前者に対しては売り切りではなく,K-ASPを貸与(レンタル)する。通信事業者などがサーバーを含めたSaaSの設備を用意して顧客開拓を行い,KitASPがSaaS で提供するソフトの調達や技術支援をするイメージだ。松田社長は,これを「楽天のようなビジネスモデル」と話す。「大手か中小かを問わず,ソフト会社にとって,SaaS事業のための設備を自前で用意する負担は小さくない。顧客開拓も単独では限界があるし,顧客にとってはワンストップでいろいろなソフトを利用できる方が便利だ。ソフト会社が我々のプラットフォームを月額1万円程度(プラス売り上げに応じた課金)で利用できるようにして,多くのソフトを一括して提供したい」(同)。

 米国でJamcrackerが提供しているのも,この種のサービスである。「Jamcrackerの創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるのは,ネットバブルの頃に一世を風靡したデータセンター大手,エクソダスの創業者。他の経営陣も,HPやマイクロソフトの経験者,著名な座席予約システムを構築/運営してきたアメリカン航空の元CIO(最高情報責任者)などベテランがそろっている。信頼性の高さが求められるSaaSビジネスに最適な人材ばかりだ」(松田社長)。

 もう一つの一般企業向けはSaaSというより,ソフトウエア資産の集中管理やセキュリティ強化を志向した,シンクライアントの考え方に近いものだ。こちらは売り切りで,100ユーザー当たり500万円から。KitASPの代理店であるシステムインテグレータを介してK-ASPを提供する。 KitASPは,この2タイプのサービスにより,「SaaSビジネスで先行するセールスフォース・ドットコム(SFDC)とは異なる選択肢を提供する」 (同)考えだ。

 とはいえセールスフォース・ドットコムのサービスに比べると,まだ課題も残る。一つはK-ASP上のアプリ同士のデータ連携ができない場合があること。既存のアプリをそのまま動かすから当然なのだが,SaaSといえばデータ連携が前提というイメージも強い。「必要なら連携専用のアダプタを開発する。標準的なデータ連携の仕組みを用意し,それに合わせないとソフトを提供できないといった縛りは考えていない」(同社)。

 有力なソフトを調達できるかどうかも,ASPブームの頃と変わらない課題だろう。売れるソフト製品を擁するベンダーはSaaSで提供しようとはせず,そうでないベンダーの製品ばかりが集まる可能性もあるのだ。これに対しKitASPは「有力なソフト企業の多くは,売り切り方式(セルモデル)で売れる顧客にはすでに販売済み。売り上げを伸ばすには,自前でサーバーを保有できない企業を開拓する必要がある。現実に,ある会計ソフトの有力企業と具体的な話し合いをしている」(松田社長)。

 三番目の課題は様々なソフトを様々なユーザーインタフェースで提供することが,ユーザー側に混乱をもたらしかねないこと。どのアプリがどのサーバー(クライアント)で動いているのか,それぞれの料金体系はどうなっているのかなどが見えにくいうえ,作成したデータの所在をユーザー自身が管理しなければならない。自由度が高い半面で,ユーザーにはある程度の情報リテラシーが求められる。またサービスの提供体制も課題の一つ。KitASP,通信事業者やISP,ソフトの開発/販売会社が,役割分担しながら「SaaSの商店街」を提供する形態は,うまくいっているときはともかく,何かトラブルがあると責任の所在があいまいになるおそれがある。

 それでも,SaaSといっても電子会議やセキュリティソフトなどにとどまっていたり,共同研究の域を出ない取り組みが多い中で,KitASPの試みが実現すれば注目に値する。セールスフォース・ドットコムのオルタナティブになり得るかどうか,今後に期待したい。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070820/279858/?ST=security
株式会社 ROMクライアント
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2007年8月2日木曜日

国内シンクライアント関連市場規模予測を発表

IDC Japan、国内シンクライアント関連市場規模予測を発表

国内シンクライアント関連市場規模予測を発表

・2007年のシンクライアント端末出荷台数は、12万台超となる見込み
・2006年〜2011年の年間平均成長率(CAGR)43.1%で拡大し、2011年には50万台超に
・関連コンポーネント、サービスを含めたシンクライアントソリューション市場規模は、2011年に約1,300億円に達すると予測

 
 IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03−3556−4760)は、2007年第1四半期の実績調査をもとに、シンクライアント端末出荷数および関連ソリューション市場の動向について分析を行い、その結果を発表しました。

 セキュリティ、コンプライアンス対策、TCO削減、環境対策、事業継続性/災害復旧対策(BC/DR:Business Continuity/Disaster Recovery)、情報システム管理の効率化といった経営課題に対するシステムソリューションとして、シンクライアントが注目されています。

 シンクライアント端末の出荷は、2006年の実績値で約8万4,000台、2011年には50万台超になり、2006年〜2011年の出荷台数における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は43.1%、関連コンポーネント、サービスを含めたシンクライアントソリューション市場規模は、2011年に約1,300億円に達するとIDCでは予測しています。

 IDC Japan PCsシニアマーケットアナリストの成田 雄三は、「セキュリティ対策などの課題解決策としてシンクライアントは有効であり、今後、市場は拡大していく。シンクライアント関連ベンダーは、次世代のITインフラとしてシンクライアントソリューションの提案を行っていくべきである」と述べています。

 今回の発表はIDCが発行した「国内シンクライアント市場 2006年の分析と2007年〜2011年の予測:クライアント仮想化の動向」(J6020107)にその詳細が報告されています。本レポートでは、2006年までの国内シンクライアント市場実績および2007年から2011年までの市場予測を提供しています。また、製品動向として、シンクライアント、ブレードクライアント、シンクライアントシステムを構成する関連コンポーネント、仮想化ソリューションに包含されるシンクライアントソリューションの市場動向および予測を提供しています。

 なお、IDCでは、シンクライアントを、ハードディスクドライブを内蔵しないネットワーク依存型のシステムデバイスとして定義し、PC市場とは独立して調査を行っています。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=166535&lindID=1